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イーロン・マスクの夢見た超巨大ロケット、初めてその姿を見せる

 

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全長約120mにもなる、超巨大ロケット(Image Credit:Elon Musk via Twitter)

人類を多惑星種族にするため、スペースXを創立し、火星移住を本気で推進する男、イーロン・マスク。彼の夢見た超巨大ロケットのプロトタイプが、日本時間2021年8月6日、テキサス州ボカチカにあるスペースXの施設「スターベース」にお目見えしました。

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歴代のロケットの大きさの比較

(Image Credit:By Thorenn - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79611568)

超巨大ロケットは、上段のスターシップ(Star Ship)と呼ばれる宇宙船と、下段のスーパーヘビー(Super Heavy)と呼ばれるブースターでできており、その全長はなんと120mでビル30階分の高さ。これは、アポロを月に送った、NASA最大のロケットのサターンVをしのぎ、人類のロケット史上最大のものになります。また、その推力もサターンVの35メガニュートンの約2倍に達します。

この巨大ロケットの重要な特徴は、スターシップとスーパーヘビーのどちらも自力で再着陸し、再利用ができるように設計されているということ。加えて、どちらも火星で生産可能なメタンと酸素を燃料とするラプターエンジンが使用されています。

素早く完全に再利用できる、ロケットを作ることが、人類が地球以外の惑星にも住む種族になるために必要なことだと、マスク氏も断言しています。

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スターシップ

(Image Credit:By Jared Krahn - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=99400209)

実は、スターシップはこのマスク氏の設計思想に基づき、これからスペースXが取り組む以下のようなプロジェクトに対応できるように設計されています。

  • 地球軌道へペイロード(衛星や貨物)の運搬
  • 地球上の2地点を1時間以内で結ぶ移動手段
  • 軌道上での燃料補給のためのタンカー
  • 軌道上で補給を受けてから月や火星へと向かう宇宙船

スターシップは2017年の9月にその計画が発表され、スペースXは驚くべきスピードでその開発を進めてきました。2019年の9月にはフルサイズの試験機で、テスト飛行をスタート。何度も、失敗を重ねながらも、2021年の5月には高高度飛行試験に成功。上空10kmまで上昇し、無事地上に再着陸を果たしました。

また最近では、NASAが主導する月着陸計画「アルテミス計画」における月着陸船として正式に採用されたことがニュースになりました。

このように、多目的に開発されたスターシップを運用するために、スーパーヘビーを含めたこの超巨大ロケットシステムの完成が必要不可欠ということですね。

 

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打ち上げ時のイメージ

(Image Credit: Space X)

今回、超巨大ロケットは約1時間ほどで分解されましたが、うまくいけば年内にもその最初の軌道飛行試験を予定しているとのこと。その際、スーパーヘビーはメキシコ湾に、スターシップはハワイのカウアイ島の沖合に着水する予定です。 

その初飛行までには、多くの試験をパスし、関連する当局からの許可が必要であったりとまだチャレンジングな状況は続きますが、マスク氏の壮大な計画の基礎となる、超巨大ロケットシステムが初めてその姿を表したことは、感慨深いものがあります。

マスクもTwitterで、夢が叶ったとツイートしています。